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2012年11月のひとこと書評(掲示板に書いた文章の転載。評価は★5つが最高)

  11月のひとこと書評の再録です。掲示板そのままでは芸がないので、評点をつけます。★5つが最高。評価基準の詳細は、2001年11月書評のページをご参照ください。


(759) 『影法師』(著:百田尚樹。講談社文庫)
P20 「お前の父は三人を相手に奮戦した。まことの侍だ。その侍の子が泣くな」

P71 「お前は昔から、何も星がったことのない子です。ものに未練を残したことは「一度もありません」

P76 「~勝ちを得るためには、まず自分の命を投げ出すところから始めなければならない。不惜身命・・・剣の極意はそこにあるのではないか。~」

P157 「人の世はつくづく皮肉なものだと思う。才はそれを必要とする者や欲する者に与えられるとは限らない。~」

P372 二十二年前のその日、滝本家老が勘一を殺すために島貫を放ったことを、何らかの方法で知った彦四郎は島貫を追ったのだ。~
 彦四郎は滝本の目を欺くために、白昼堂々わざと婦女に狼藉を働き、恥ずかしさのあまり逐電したと見せかけたのだ。

P385 「必殺の居合が空を切ったことも初めてなら、剣戟で敗れたことも初めてだった。今、振り返っても、奴の見切りは神業だった」

「奴は~刀を鞘に納めると、こう言った。・・・・名倉勘一は茅島藩になくてはならぬ男~」

「貴公は、あの男の申す通りの男だった。~奴もまた影のように生きた。しかし奴は儂と違い、人を生かした。磯貝彦四郎・・・・あれほどの男はおらぬ」

終章 P5 「俺は、勘一から友として打ち明けられた。みねが好きだと。今更・・・・俺もそうだ、とは言えぬ」
 みねは心の中で泣いた。その一言で生きていけると思った。

P7 彦四郎様、とみねは小さな声で呟いた。
・・・・心からお慕い申し上げておりました。
 これまで心の中でさえ言ったことのない言葉だった。そしてその言葉を吐いたことを彰蔵に詫びた。
~空を見上げたみねの体を、晩秋とは思えぬ明るい陽光が温かく包んだ。
 みねは、彦四郎が今、自分を抱いたと思った。

★★

 

 


(760) 『指揮官たちの特攻』(城山三郎。新潮文庫)
P19 「整備の人たちがよくやってくれるから、俺たちは安心して飛べる。整備の人たちを大切にしなくちゃ」
 というのが、これまた口癖であった。

P20 昭和16年の年の瀬も押しつまった頃~久しぶりに恵まれた元気な男児が可愛くてたまらず、寒い季節なのに、つい庭へ抱いて出て、風邪をひかせ、それが急性肺炎に。

注 高橋は医師から特効薬を航空隊から持ってきてほしいと頼まれたが「一本たりとも私するわけには」と断り、輸血の願いも「私の体のすべては陛下に捧げたもの」と断った。

P163
 とにかく、味方の命を救うのが、アメリカ軍なのか。
 同じ搭乗員というのに、こちらは命を捨てることだけが使命。

P172 ~幼な妻のこの先が気にならぬわけがない。
<唯、保子も若年にて世の荒波を知らざれば、手を取りてご指導下され度候。~>

P182 14日はまた混乱の一日であった。~夜には~「対ソ及対沖縄積極攻撃中止」の命令が、大分~にも伝えられた。
 宇垣はそれを承知で、まるで反撥するように翌日のための出撃命令書を書かせた。

P197 中津留機とその列機が、とっさの間に~番外の目標に突っこんだことで、日本は平和への軟着陸ができたといえるのではなかろうか。

P212 ~明がその最期まで思い出しては口にしていたのが、
「宇垣さんが一人で責任をとってくれていたらなぁ」
というつぶやきであった。


★★★☆

 
  


 

 

 永続的に書評が大量に積み残し。



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