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(No198) 大阪市立美術館「ボストン美術館 日本美術の至宝」 鑑賞記
画像は、展覧会チラシ、博物館パンフなどから。
◆ プロローグ コレクションのはじまり
2 岡倉覚三像 平櫛田中作 昭和38年 平櫛田中氏寄贈
会場に入ると釣り竿を持ったおじさんの像がお出迎え。これは岡倉天心(覚三)の像である。平櫛田中って矢野兵頭、おぎやはぎみたいだけど一人の名前。読みは「ひらぐしでんちゅう」。
◆ 第一章 仏のかたち 神のすがた
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5 法華堂根本曼荼羅図
奈良時代 8世紀
ビゲローコレクション
東大寺法華堂(三月堂)に伝わっていたと言われる。
霊鷲山(りょうじゅせん)で釈迦が法華経を説く光景をあらわしたもの。
会場では赤外線写真が添えられ、判別しにくいが、ここに五僧が描かれているといった解説が加えられていた。
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7 馬頭観音菩薩像
平安時代 12世紀中頃
フェロノサコレクション
馬頭観音の解説については、私のHPではここで。 |
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8 普賢延命菩薩像
平安時代 12世紀中頃
フェロノサコレクション
同じく普賢菩薩に関する解説としては、とりあえずこちらで。
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23-1 弥勒菩薩立像 快慶 作
鎌倉時代 文治5年(1189)
弥勒菩薩についてはここで。
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23-1 弥勒菩薩立像 快慶 作
鎌倉時代 文治5年(1189)
画像が小さいので分からないと思うが、左の巻子が像内に納入されており、そこに快慶が作ったと書かれている。
像の高さは約106cm。
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◆ 第二章 海を渡った二大絵巻
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26 吉備大臣入唐絵巻
平安時代 12世紀後半
ビゲローコレクション |
何か内容に覚えがあるなあと思ったら、以前ここ(奈良博「大遣唐使展」)で観ていたのであった。最近はどうしても記憶があいまいになるので、こんな時は記録を残しておいて良かったと思う。
本絵巻は、遣唐使として二度唐に渡った吉備真備(きびのまきび)をモデルにしているが、中身はSFコメディみたい。大体のストーリーは、以前の鑑賞記で書いたので重複は避けるが、上掲の吹き出しの一番右は阿倍仲麻呂の霊の助けで高楼から空を飛んで中国高官らの元へ向かっているところ。中央は、何とか吉備真備に恥をかかせようと『文選』(もんぜん。中国南北朝時代に編纂されたいわば古典名文集のようなもの)など難問を考えている学問所での学者たち。左端は、その討議を盗み聞きしている吉備真備と阿倍仲麻呂(赤い顔の方)。
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27 平治物語絵巻 三条殿夜討巻
鎌倉時代 13世紀後半
フェロノサコレクション
平治元年(1159)に藤原信頼、源義朝が三条殿を夜討し、後白河上皇を拉致した事件を描いたもの。 |
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左は、藤原通憲(信西)の首級があげられたところらしい。モブシーンの迫力ある描きぶりは凄い。 |
◆ 第三章 静寂と輝き 中世水墨画と初期狩野派
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33 山水図 祥啓 筆
室町時代 15世紀末~16世紀初
フェロノサコレクション |
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38 金山寺図扇面
伝狩野元信 筆 景徐周麟 賛
室町時代 16世紀前半
ビゲローコレクション
扇面左隅に「元信」印が捺されているそうだ。私には判別できないが。金山寺は中国江蘇省の名刹。 |
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39 韃靼人狩猟図
伝狩野元信 筆
室町時代 16世紀前半
フェロノサコレクション
京博の「狩野山楽・山雪」でも山雪筆の「韃靼人狩猟・打毬図屏風」があった。
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40 松に麝香猫図屏風
伝狩野雅楽助 筆
室町時代 16世紀中頃
ビゲローコレクション |
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麝香猫(じゃこうねこ)とされているが、はっきり言って気味の悪い猫だ。目付きも割れた腹筋のような形でもこもこっとなってる胸の毛並みも。 |
◆ 第四章 華ひらく近世絵画
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44 龍虎図屏風
長谷川等伯 筆
江戸時代 慶長11年(1606)
フェロノサコレクション |
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44 龍虎図屏風
長谷川等伯 筆
江戸時代 慶長11年(1606)
ビゲローコレクション |
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49 四季花鳥図屏風狩野永納 筆
江戸時代 17世紀後半
フェロノサコレクション |
右隻右から春、夏。左隻は秋、そして雪の積もった冬の光景で終わる。
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52 仙境・蕭史・弄玉図
狩野養信 筆
江戸時代 19世紀前半
ビゲローコレクション
鳳凰に乗る女性は弄玉。秦の穆公は、簫の名手である蕭史と自分の娘弄玉を結婚させた。弄玉は夫に習ううちに簫で鳳凰の鳴き声を真似られるようになり、ある日蕭史は龍、弄玉は鳳凰に乗って昇天したという。
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家にあった『抱朴子 列仙伝・神仙伝 山海経』(平凡社 中国古典文学大系8)では「二人のため鳳台を建ててやると~ある日、二人とも鳳凰について飛び去った」とあるが、挿絵ではやはり男は龍に乗っている。 |
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55 松島図屏風
尾形光琳 筆
江戸時代 18世紀前半
フェロノサコレクション |
俵屋宗達の「松島図屏風」を元にアレンジしたもの。 |
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56 鸚鵡図
伊藤若冲 筆
江戸時代 18世紀後半
ビゲローコレクション |
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鑑賞時たまたま横に居た御婦人方の会話。
「あ、あんたじゃくちゅうさん、初めて?」
「うん、初めて。上手やねぇ」
「せやろ?上手やねん、じゃくちゅうさん」
実に大阪らしい会話である。伊藤若冲も友だち扱い。 |
◆ 第五章 奇才 曽我蕭白
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61 龐居士・霊昭女図屏風
曽我蕭白 筆
江戸時代 宝暦9年(1759)
ビゲローコレクション |
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龐居士とは唐時代の隠者龐蘊(ほううん)で、娘霊昭女とつつましく暮らす姿を描く・・・というのが表向きの画題。
場内のサロンで解説ビデオが上映されていた。そこでは龐蘊の顔がアップに。と、鼻からは鼻毛があふれ、怪しげな色欲にまみれた目付き。そして、娘は裾をめくり、ふくらはぎを露わにしてどこかしら挑発するような表情。
川で洗濯する娘の足に気を取られて転落し、法力を失った久米仙人に見立てているそうだ。それで本屏風には「見立久米仙人」という副題がついている。 |
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62 雲龍図
曽我蕭白 筆
江戸時代 宝暦13年(1763)
ビゲローコレクション |
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同上 |
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同上 |
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65 風仙図屏風
曽我蕭白 筆
江戸時代
18世紀後半フェロノサコレクション |
突風にあおられ、従者が転がっている。どうも中央の男が龍を呼び出したために突風が吹いたらしい。しかし、従者はこれ以上ないっちゅうくらい転がっている。 |
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67 虎渓三笑図屏風
曽我蕭白 筆
江戸時代 18世紀後半
ビゲローコレクション |
東晋の僧慧遠(えおん)は俗世界を嫌い廬山の東林寺に籠もり三十余年虎渓橋から外へ出なかったが、ある日詩人の陶淵明、道士陸修静が訪問した折、帰りに見送る際、話に夢中になる余り自らの禁を破り橋を渡り越してしまった・・・という故事がある。
京博の「狩野山楽・山雪」で山楽筆の「厳子陵・虎渓三笑図屏風」が展示されていた。古来盛んに描かれた画題である。
鑑賞時、横で女子学生が居た。
「思いっきり笑ってるな」
「要はデヘデヘおじさんたちが電車ごっこして喜んでるとこやな」
そう言っちゃうと身も蓋もないが、うまいことゆうなぁ。 |
お疲れさまでした。
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